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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100616-00000009-wsj-int" target="_blank">【ブログ】監督との個人的きずなは不要 = フィリップ・トルシエ元日本代表監督（ウォール・ストリート・ジャーナル）


　フィリップ・トルシエ監督率いるサッカーの日本代表チームは2002年、日韓共催ワールドカップ（Ｗ杯）で日本史上初のベスト16を達成した。だが、それ以来、日本代表チームは国際的な試合で旋風を巻き起こすことはできていない。



　その理由を、現在は日本フットボールリーグ（ＪＦＬ）所属のクラブチーム、ＦＣ琉球で総監督を務めるトルシエ氏は、考え方の問題だと述べる。



　トルシエ氏は今月初め、本紙の電話取材に応じ、次のように述べた。「日本では、何でも素早くやりたがる。だが、サッカーにおいては、何でも速くやればいいというものではない」



　代表監督を務めた1998年~2002年の4年間において、トルシエ氏はこの国民性を変えるのに苦労したが、何とか試合ペースを落ち着かせ、長期間かけて改善していった。「発想の転換が必要で、それには結局4年かかった。わたしは独自の哲学で、訓練場を、壮大な実験室を作り上げた」



　そうしたトルシエ氏の指導の下、日本代表チームは2000年にアジア杯優勝とシドニー・オリンピックでの決勝トーナメント進出を達成する。



　トルシエ氏は、監督としての役割をオーケストラの指揮者にたとえ、自分のやり方は「演奏者に演奏の仕方を強要することだ。『駄目だ。演奏者は自分が好きなように演奏はできない』と言い聞かせるのが、わたしのやり方だ。各自チームワークを尊重しなければならず、好き勝手に演奏することは許されていない」と、述べる。



　トルシエ氏が代表監督を辞めてから数年がたち、同氏の哲学で育った選手の多くが引退した今、日本代表チームは以前の状態に逆戻りしてしまったとトルシエ氏は述べる。「わたしの思想は、空に消えてしまったようだ。日本代表チームに欧州スタイルは残っていない」



　トルシエ氏は、岡田・現日本代表監督について、今月初め行われた韓国とのホームでの親善試合で日本が負けた後、代表チームは1998年当時の「愚かな精神状態」に後退してしまったと、その指導スタイルを厳しく批判した。だが、すべての責任を監督に押しつけることはできないことも認める。



　「日本でサッカーをするのと、ヨーロッパでサッカーをするのとでは訳が違う。日本や韓国を初めとするアジアチームが現在抱える問題は、監督ではない。欧州でプレーする選手があまりいないことだ」と、トルシエ氏は話す。23人の日本代表メンバーのうち、現在欧州リーグでプレーしている選手は、ロシアリーグ・ＣＳＫＡモスクワ所属の本田圭佑を含め、4人しかいない。



　だが、トルシエ氏は、固い決意で試合に臨めば、日本代表チームにも「決勝トーナメントに進出できる可能性は十分にある」と話す。それには、グループリーグ初戦の相手、カメルーンを倒せるかどうかがカギになると述べる（注：日本は1対0でカメルーンに勝利した）。オランダやデンマークといった強豪国との試合を後日に控え、初戦で負ければ精神的に立て直すのが難しいからだという。



　だが、トルシエ氏は、日本代表チームを精神的に元気づける方法について、「簡単だ。『頑張ってください』とだけ言えばいい」と話す。「監督が選手に愛情を持つ必要はない。欧州のように、日本人選手も監督と個人的なきずなを持つ必要はない」



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